2.作動記憶モデル

私たちが言語的コミュニケーションを円滑に行うためには、次から次へと入力される言語情報を高速かっ適切に処理し、しかもその情報を一時的に貯蔵しなければなりません。知識ベスである長期記憶から関連情報を検索し、入力情報の意味や文脈を理解すること、さらにはその正誤を判断することが求められます。言語情報の処理と貯蔵が心の中で同時に行われてはじめて、コミュニケーションは成立すると言えるでしょう。このような並行作業を支えるシステムが作動記憶であり、それは「今この瞬間」に働き続ける、動的な心の作業場です。
作動記憶モデルでは、パドリーら(Baddeley&Hitch,ー1974;Bad­deley,1986)が構築したものが有名です。このモデルは、基本的に3つのシステムから構成されています。(図3)に示すような音韻ルプ(phonologicalloop)、視・空間スケッチパッド(visuospatialsk巴tchpad)、中央制御部(centralexecutive)の3つです。
音韻ループは、音声化された、あるいは文字化された言語情報の一時的な貯蔵のためのサブシステムです。「心の中の耳」(phonologicalcache)と「心の中で、の発声」(phonologicalrehearsal)という2つの機能をもっと考えられています。音韻ループは、ほぼ2秒以内で音声化できる単語数という、時間に基づく容量の限界をもち、数字の記憶範囲(digitspan:ランダムな数字の並びを1桁ずつ見たり聞いたりするとき、それらを何桁まで順序正しく正確に覚えられるか)の基礎になるとされています。
視-空間スケッチノfッドは、視覚的イメージや物体の位置など、視覚的・空間的情報の一時的な貯蔵に携わるサブシステムです。「心の中の目」(visualcache)と「心の中での描写」(innerscribe)の2つの機能をもっと考えられています。この視・空間スケッチノfッドは、音声言語の母語や第二言語の単語を、イメージを用いて記憶する場合に、重要な役割を果たします(Matsumi,1994)。
音韻ルプと視・空間スケッチパッドは互いに独立して機能しますが、これら2つのサブシステムは中央制御部と呼ばれるメインシステムによって制御されます。中央制御部は注意制御システム(attentionalcontrolsystem)であり、処理資源(processingresources)としての注意量を適正に配分して、言語やイメージの産出、理解といった高次の認知活動における処理を行っています。音声言語での文を聞きながら、ほぼ並行してビデオ画像や絵などが理解できるのは、中央制御部が2つのサブシステムをうまく制御しているからです。ただし、一度に配分できる処理資源には限界があると考えられています。いくつかの複雑な認知活動を同時に行うときは、この限界を超える処理資源が必要となり、1つまたはそれ以上の課題の遂行が遅くなったり、不正確になったりする現象がみられます。
作動記憶モデルについては、現在でも、各システムの内的構造・機能を明らかにする研究や、知識ベースである長期記憶との関連を扱う研究、さらには作動記憶容量の個人差を測定して特定の言語能力(読解力や聴解力など)との関係を明らかにする研究などが行われており、修正モデルも提案されています(Baddeley,2000,2003;Daneman&Carpenter,1980;Hitch&Logie,1996;Logie,1995)。しかしながら、これまでの作動記憶研究は音声言語を対象としたものが多く、音声を伴わない手話を対象とした研究は少ないのが現状です。とりわけ、日本手話や日本語対応手話を扱った研究は、わずかしかありません。

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